【東川町せんとぴゅあギャラリーⅠ】「こころに刻まれた風景」刺繍が紡ぐアート展

糸で編まれた豆のツルとガラスの豆 ギャラリー

道の駅に置いてあった一枚のフライヤーに心惹かれて、この展覧会を訪れました。

【開催情報】

施設名 東川町複合交流施設 せんとぴゅあ I /ギャラリー2
展覧会名 こころに刻まれた景色
開館期間 2025年10月4日(土)〜26日(日)
開催期間 午前9時〜午後5時(休館日10月6日・14日・20日)

〒071-1426 北海道上川郡東川町北町1丁目1番1号
アクセス JR旭川駅より車で約30分 / 旭川空港より車で約20分
駐車場 あり(無料)

北海道東川町にある「せんとぴゅあ」は、写真文化の拠点となる複合交流施設です。その中で開かれた「こころに刻まれた風景」展は、東京町田市在住立原真理子さんオランダ在住のレグラ・マリア・ミュラーさんの二人による展示でした。

会場ではお二人から直接、作品に込められた思いや制作のエピソードを聞くことができ、とても素敵な時間を過ごせました。

二人の作品の共通点は「糸を使って縫うこと」。同じ手法を用いながらも、全く違う世界観を持つ作品が並ぶ展示空間は、まるで異なる季節を行き来しているかのような、不思議で心地よい感覚を覚える展覧会でした。

1. 立原真理子:蚊帳に刺繍された「冬の日常」

立原真理子さんの作品・刺繍された蚊帳

立原さんの作品には、大きな蚊帳が使われています。上から下にかけて青から白へと色が変化している既成の蚊帳には、小さく景色が刺繍されていました。

立原真理子さんの作品・刺繍で表現された冬景色

蚊帳の入口が開いているのでなんとなく入って見ると、外から見ていたときとは全く違う世界に四方から包まれます。ゆっくり周囲を見回すと、まるで冬に車の窓から外を見たときのような、ぼんやりとした風景が見渡せます。蚊帳の向こうには、さらに家々の景色が見えてくるのです。

立原真理子さんの作品・刺繍された冬景色

そう、それはまさに雪景色の風景が表現されています。電柱や雪が積もった柵の様子など、今まで当たり前にありすぎて気づかなかった冬の日常が再現されているからこそ、やけにリアルに感じられます。

立原さんは、旭川からバスに乗ったときの冬の景色を思い出しながら制作したそう。制作中は夏だったので、蚊帳の中で作業をするとエアコンの風が遮られ暑い思いをした、というエピソードを伺いました。これから冬へと向かう季節に、真冬の景色を体感しながら、これが作られたときの立原さんの暑さに思いを馳せると、自然の移ろいの早さや不思議さに、興味深い感動を覚えます。

立原真理子さんの作品・油彩で表現された冬景色

ギャラリーの壁面には、普段は水彩を扱う立原さんが、北海道の雪の重みを表現するために油彩で描いたという雪の中に佇む家屋の絵があり、冬の匂いまで感じられそうでした。(東川町の森と暮らし、そして廃校をリノベした空間に興味がある方は、北の住まい設計社ショールーム訪問記もおすすめです。)

2. レグラ・マリア・ミュラー:生命力あふれる「豆」の表現

レグラ・マリア・ミュラーさんの作品

オランダ在住のレグラさんは、豆をモチーフにした写真に細かく刺した刺繍がとても美しく、繊細な表現でした。

レグラ・マリア・ミュラーさんの作品

自然が大好きでオランダのご自宅のお庭にたくさんの植物を育て、その写真を撮り作品にしているそう。緑が鮮やかで美しい曲線を持つ豆には、その一つ一つに色々な表情があります。円形のガラスにビーズで作った植物を入れて吊るした作品には、本物の豆も使われていたのが印象的です。

レグラさんいわく、日本のビーズは安価にも関わらず、どれもきちんと規格が整っていて使いやすい、ということでした。海外の作家さんから日本の資材を褒められるのは、なんだか嬉しい気持ちになりますね。

レグラ・マリア・ミュラーさんの作品

壁一面に飾られた豆の弦は編まれた糸で作られていますが、3メートル作るのに1週間もかかるそうです。その労力に驚きつつも、左下に垂れた豆のモチーフがとてもかわいらしくて綺麗で、見入ってしまいました。

レグラ・マリア・ミュラーさんの作品

シェフである息子さんのレシピにレグラさんの写真を合わせたという、小さな写真集をいただきましたが、こちらもとても美しく綺麗な冊子で、宝物になりそうです。

この二人の展示は、どちらも自然の中で感じたことを表現していて、鑑賞している私達も同じ気持ちになれる、自然豊かな東川で開催された素敵な展覧会でした。(東川町のギャラリーで開かれた子どもたちのアート作品展 M(N).A.R.Sのレビューも、創造力に関する考察が深まるため合わせてご覧ください。)

【合わせて読みたい|東川町の暮らしとアート】 せんとぴゅあ以外にも、東川町には家具の工房とカフェ、ギャラリーが併設された「北の住まい設計社」さんがあります。暮らしとアートに触れる旅の参考に、ぜひこちらもご覧ください。

3. 「せんとぴゅあ」施設情報・アクセス(営業時間・住所)


施設名  東川町複合交流施設 せんとぴゅあ I
住所   〒071-1426 北海道上川郡東川町北町1丁目1番1号
開館時間 午前9時〜午後5時(※展示によって変動する場合があります)
休館日  毎週月曜日、年末年始など
アクセス JR旭川駅より車で約30分 / 旭川空港より車で約20分
駐車場  あり(無料)

ギャラリーの入口

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