北海道東川町「北の住まい設計社」Ksギャラリーを訪ねて
北海道上川郡東川町にある「北の住まい設計社」は日本の手仕事や道産木材への思いを日常で使われる家具を通して伝える会社。廃校になった建物を改築し工場として再利用しています。カフェを併設したショールームもあり、前庭では不定期でファーマーズ・ガーデン・マーケットが開催されています。
廃校舎リノベが生む独特な空間の魅力と郷愁
ファーマーズ・ガーデン・マーケットは近隣の市町村からも多くの出店があり、とても賑やかで楽しい不定期開催の朝市。この「北の住まいの設計社」の工場内にあるKsギャラリーで、アートスクールM(N).A.R.Sに通う生徒さんたちの展覧会が2025年10月4日からマーケットに合わせて開催されました。

ショールームの建物の隣にはカフェがありますが、その少し奥に続く道を行くとギャラリーがあります。
とてもおしゃれでかっこいいポスター。


以前は学校だったという建物のエントランス。木を使った下駄箱が懐かしさを感じさせます。


剥き出しの配線が見えていたりするところなどは古めかしさがありながらも昭和レトロな温もりがあります。壁と扉の配色が淡く柔らかで懐かしい。
子どもたちの「心のままの造形」に出会う

力作ぞろいの立体作品。手前に写っているのは、白と黒の石を配置したチェスをモチーフにした作品。もちろんそれぞれの石にキング、クイーンやポーンの役割があるのですが、それがわかるのは作った本人だけだそう。そのため石の裏にはちゃんと駒の役割が書いてありました。ちなみに少し奥に見える緑の碁盤の目が台になっている作品はオセロをモチーフにしているそうです。

針金で作られた恐竜は台に描かれた足跡がポイント。
背中の背びれも上手にできていて、まるで動き出しそう。持って帰りたくなるほど魅力的な作品でした。


アートスクール M(N).A.R.S の哲学と作品の力
展示室の手前のエントランスの上には、それぞれが異なるデザインの個性的な椅子が何脚も展示されています。
上を見渡しながら、展示室になっている部屋の扉を開けた瞬間、とても賑やかで楽しげな色とりどりの作品たちが目に飛び込んできました。


M(N).A.R.S は現代アーティストの佐々木世那さんが主宰しているアートスクール。
今回の展覧会では、遠軽町丸瀬布と東川町の2拠点で開催されている幼稚園から中学生までの生徒さんたちが作成した数年にわたる作品約80点が展示されていました。
スクールではマティスやパウル・クレーなど多様なアート作品を鑑賞することから始まり、様々な技法に触れ、ドローイングなどの体験をする中で、子どもたち自身が主導となり、心のままに造形していく中で作品を作り上げていくそう。
そのため、どの作品もそれぞれの持ち味がとてもよく出ており、個性的で見飽きることがありません。作品の持つ力がとても強く、アーティストたちの感じたことが素直に表現されていて、こちらにもまっすぐに伝わってきます。
個人的に惹かれた作品と居心地の良い空間

私が個人的に面白いと思った作品は、町並みなのでしょうか。うねる線が生き生きとしていて、とても楽しんで描かれているのがわかります。この作品の世界に没頭している気持ちが、こちらにも伝わってきて、思わず顔がほころんでしまいました。
この作品のアーティストは最初、絵を描くことを嫌がっていたそうですが、先生の授業を受けていくうちに段々と創作にのめり込んでいくようになったそうです。

これらの作品を見ていると、「上手」に描けた作品ではなく「こころ」が伝わる作品の素晴らしさにあらためて気付かされます。
森の中の小さな空間に子どもたちの元気な笑い声があちこちから聞こえてくるようで、とても居心地が良い空間でした。
面白いものや素敵なものを見つけたときの喜びが溢れるような、そんな素敵な展覧会でした。
北の住まい設計社 Ksギャラリーへのアクセスと施設情報
場所:北の住まい設計社 Ksギャラリー
住所:〒071-1437 北海道上川郡東川町東7号北7
電話:0166‐82‐6800



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